栄養学雑誌
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栄養表示のための栄養参照量の国際比較
石見 佳子笠岡(坪山) 宜代
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2017 年 75 巻 1 号 p. 39-46

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抄録

【目的】栄養表示は食品を選択する上で重要な情報であり,食による健康の保持・増進の拠り所となる情報である。栄養参照量は栄養表示をする際の基準となる値であるが,その策定方法は国によって異なる。本報告では,食のグローバル化を見据え,コーデックス委員会及び各国の栄養参照量を調査し,日本の値と比較することを目的とした。
【方法】コーデックス,米国,カナダ,EU,オーストラリア・ニュージーランド,中国,韓国,日本の栄養参照量またはこれに相当する基準値について,各国の栄養表示を管轄する政府機関のウエブサイト及び担当官への聞き取り調査により調査した。
【結果】コーデックス及び各国とも,ビタミン・ミネラルの栄養参照量については,食事摂取基準の推奨量に当たる値を基準に策定していた。ナトリウムについてはWHOの推奨値(2,000 mg)を採用している国が多かったが,カリウムについては必要量または非感染性疾患のリスク低減を目的とした量の両方が策定されていた。日本においては,両者とも生活習慣病の予防を目的とした目標量を採用している。各国の栄養参照量は,基本的にはコーデックス委員会の策定基準を採用しているが,細部においては独自の算定方法を採用していた。
【結論】表示を目的とした栄養参照量の設定には,国際的な考え方との整合性のみならず,各国の栄養素摂取状況などの公衆栄養上の特徴を考慮することも重要であると考えられた。

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© 2017 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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