日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
勃起不全治療薬 タダラフィル(シアリス®錠5 mg,10 mg,20 mg)の薬理学的,薬物動態学的特性と臨床試験成績
山口 高史植仲 和典今岡 丈士
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2008 年 131 巻 6 号 p. 469-477

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抄録

タダラフィル(シアリス®錠5 mg,10 mg,20 mg)は,強力かつ選択的なPDE5阻害作用を有する勃起不全(ED)治療薬である.In vitro試験系において,タダラフィルは強力なPDE5阻害作用を示したが,その他のPDEアイソザイムに対する作用は弱く,視覚機能への影響などの有害事象が発現する可能性が低いことが示唆された.タダラフィルはニトロプルシドナトリウム(SNP)によるヒト陰茎海綿体組織中のcGMP濃度上昇作用を増強させ,また,ヒト陰茎動脈あるいは陰茎海綿体平滑筋に対するSNP,アセチルコリンまたは電気刺激による弛緩作用を増強させた.以上の成績から,タダラフィルはそのPDE5阻害作用により,性的刺激によって産生されるNOによる平滑筋弛緩作用を増強させ,EDに対して治療効果をもたらすものと推察された.臨床薬理試験の結果から,タダラフィルの血漿中消失半減期は他のPDE5阻害薬より長く,また,薬物動態に対する明らかな食事の影響を受けないことが明らかにされた.臨床試験の結果から,性行為の前に必要に応じてタダラフィルを服用することで重症度や病因の異なるED症例の勃起機能が有意に改善することが立証され,忍容性および安全性も明らかにされた.反応時間を検討した臨床試験結果からタダラフィルは投与後30分以内に効果を発現すると考えられ,また投与後36時間まで有効性が認められている.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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