山口医学
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高年妊娠および出生前診断に対する女性のリスク認識と情報選択ニーズ
村上 京子
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2016 年 65 巻 1 号 p. 5-13

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抄録

近年,高年妊娠による出産が増加している.高年妊娠では妊娠・出産による母体リスクのみでなく,胎児の先天異常の頻度が高くなることが知られており,出生前診断を検討する場合がある.本稿では,高年妊娠・出産によるリスクと出生前診断について概観し,筆者らのこれまでの調査結果をもとに高年妊婦と家族に対するプライマリケアの要点を検討した.

 その結果,女性の多くは「児の先天異常のリスク」について認識していたが,認識が低い者,母体年齢による児のリスクや出生前診断について全く情報を持たない者があることがわかった.また,検査について夫に相談し,申し出る者もあったが,自分自身で判断し夫婦間で積極的には話さない者もあった.医療者はそれぞれの女性と家族が持っているリスク認識を知り,ニーズに合わせた情報提供を行うことが大切である.また,検査を受けるかどうかの意思決定では,妊婦のみでなく,夫への情報提供が大切であり,看護職者は家族の意思決定パターンなどを理解し,調整を行っていくことが重要である.

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© 2016 山口大学医学会
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