肺癌
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症例
気管支浸潤を認め骨化がみられた定型的肺カルチノイドの1切除例
氷室 直哉野中 誠富田 由里片岡 大輔齋藤 光次門倉 光隆
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 54 巻 2 号 p. 47-51

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抄録

背景.定型的肺カルチノイドが気管支に浸潤し腫瘍内に骨化を認めることは比較的稀である.症例.症例は29歳の女性.検診の胸部X線写真にて右下肺野に胸部異常陰影を指摘されたために受診した.胸部CTにて右肺S8に辺縁明瞭で内部に石灰化を伴う25×23 mm大の結節を認めた.全身検索ではリンパ節腫大や遠隔転移を示唆する所見はみられなかった.血中腫瘍マーカーの上昇は認めなかったがACTHが上昇していた.手術は,腫瘍に隣接する気管支との剥離が不可能であったため右下葉切除術ならびにリンパ節郭清を施行した.病理学的に腫瘍は骨化を認め,また,気管支へ浸潤するとともに気道内へ露出しており,最終病理組織診断で定型的肺カルチノイドと診断した.リンパ節転移はみられなかった.術後1年2か月を経過してACTHは正常化しており,無再発生存中である.結語.気管支浸潤を認め骨化がみられた定型的肺カルチノイドの1切除例を経験した.切除後遠隔期の再発転移例の報告もあり,術後長期経過観察が必要と考えている.

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© 2014 日本肺癌学会
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